企業経営には様々なリスクが付いて回ります。
中でも最も大きなリスクは、やはり倒産のリスクです。
特に、中小企業においては経営の地盤が大企業ほど強固でない場合がほとんどですので、このリスクが常に付いて回ることになります。
しかしその反面で、中小企業にはそうしたリスクに備えるためのセーフティネットとして、今回紹介する中小企業倒産防止共済があります。
中小企業倒産防止共済と言われても、会社経営に携わっていない方のほとんどはご存じ無いと思います。また、実際に会社を経営されている方の中にもこの制度をご存じでない方が少なからずいらっしゃいます。
中小企業倒産防止共済とは、簡単に言えば中小企業者が連鎖倒産等に陥る事態を防止するための共済制度のことです。
メインのサービスは共済契約者の取引先事業者が倒産して売掛債権等が回収出来なくなった際の共済金の貸付です。
この制度は中小企業倒産防止共済法に基づいて作られたもので、運営は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が行っています。
日本には企業防衛制度と呼ばれるものがいくつかありますが、これもその内の1つです。
平成28年3月末時点での加入者数が約40万社となっており、もちろんそのほとんどを中小企業が占めています。
中小企業倒産防止共済に多くの中小企業が加入しているのは、それだけのメリットがあるからです。
具体的には、次のようなメリットがあります。
取引先が倒産した時に売掛債権などを回収できなくなり資金繰りに困るというのは、中小企業においてはよくある話です。
そのような時に、もしも資金繰りが上手く行かなければ、当然その企業は倒産の危機に瀕することになります。
しかし、中小企業倒産防止共済に加入していればそうしたリスクを心配する必要が無くなります。
何故なら、この制度の加入者は取引先の倒産時に無担保且つ、無保証で貸付を受けることができるからです。
尚、貸付金の額は「回収困難となった売掛金債権」または「掛金総額の10倍」のどちらか一方の少ない方となります。
また、限度額は最大で8000万円までと定められています。
中小企業倒産防止共済では、「共済」という名前からも分かる通り掛金を支払うことになります。
掛金の額は月々5000円~20万円の間で自由に選択することができ、加入後に初期の設定額を変更することもできます。
また、加入期間中の掛止めや減額を行うこともでき、もちろん途中解約も行えます。
そしてここが重要なのですが、この制度の掛金はその全額を損金または必要経費に算入することができます。
つまり、掛金の支払額の一部または全部を節税することができるのです。
中小企業倒産防止共済に加入するためには、引き続き1年以上事業を行っている個人事業者または会社であることが1つの条件になっています。
また、業種ごとに定める資本金の額または従業員数の基準において中小企業と認められる必要があります。