企業の倒産を防ぐ上で有効な対策の1つがコストカットです。
とりわけ、現在のようなデフレの状況ではコストカットに成功するかどうかが企業の行く末を大きく左右することになります。
しかし一口にコストカットと言っても、そこには正しいコストカットと間違ったコストカットがあります。
当然ですが、経営者としては正しいコストカットを行わなければなりません。
おそらく現在、日本企業のほとんどは何らかのコストカットを行っているはずです。
中には、どんぶり勘定であったり無駄遣いが多かったりしてコストカットとは無縁の企業もありますが、そうした会社は余程業績の良い会社か、あるいは全く将来のことを考えていない会社に限られます。
どちらにしても、デフレ下で苦しんでいる大多数の企業が目指すべき存在ではありません。
やはり、現在の景況下における企業としては、何らかのコストカットを継続的に行わなければなりません。
その際経営者として行うべきは、冒頭でも述べたように「正しい」コストカットなのですが、問題は正しいコストカットとは一体何かということです。
これは、企業の内実が個々に異なるため一概には言えないというのが正直なところですが、どの企業でも以下のようなやり方を避ければ概ね正しいコストカットができます。
企業または商品・サービスには付加価値というものがあります。
付加価値は、企業の生命線であり競争力の源泉でもあります。
ですので、例えコストカットが必要であっても、企業または商品・サービスの付加価値を下げるようなコストカットはしてはいけません。
コストカットというのは本来、無駄の削減を通じて利益を増やしたり企業の価値を高めたりするところに目的があるわけですから、付加価値を下げるようなことをしてしまっては本末転倒ということになってしまいます。
コストカットはあくまでも商品・サービスの質を落とさない範囲で行うことが肝心です。
業務の効率も付加価値と同様に企業にとって重要な要素です。
効率の良い業務を行えば、当然その分だけ生産性が向上します。ということはつまり、これを逆に言えば、効率が悪くなれば生産性も落ちるということになります。
そして実際に、見境なくコストカットを行う企業では、自ら業務の効率を悪化させて自分で自分の組を絞めているという状況がしばしばみられます。
コストカットをすることで生産性が下がってしまっては元も子もありませんから、こうしたコストカットもできる限り避けなければなりません。
企業におけるコストというのは、そのかなりの部分が社員のモチベーションと密接に繋がっています。
一番分かりやすいのが給与(各種の手当てを含む)です。
コストカットが必要だからと言って不当に給与を下げてしまえば、当然社員のモチベーションは下がってしまいます。
また、生産活動に必要な設備や種々の備品などに関しても、度を越してカットしてしまうとこれもやはりモチベーションの低下に繋がってしまいます。ですので、こうしたコストカットも避けなければなりません。
コストカットを行う際には、まず初めにコストの「見える化」を行う必要があります。
そして、この見える化されたコストから不要だと思われる部分をカットしていくのです。
この作業が行われないと、往々にして本来必要なコストまでカットされることになりがちですので、見える化の作業は欠かせません。